沖縄県立沖縄水産高等学校 海洋技術科・専攻科

海洋技術科・専攻科の紹介

実習船 海邦丸五世

沖縄県唯一の船舶職員養成施設として国土交通省の認定を受けている海洋技術科では、下記の事項を強化拡充します。

1.海洋立県沖縄そして日本の水産及び海洋関連産業の未来を担うスペシャリスト育成を強化するため五級海技士認定定員を30名から40名定員へ増員します。
2.グローバル化社会に対応できるコミュニケーションやチームワーク能力を身に付けた航海士、機関士そして将来の船長、機関長の育成を強化します。
3.実習船を大型化し、全国水産系高等学校の中でも最大かつ、最新設備を備えた実習船に乗船し船舶の運航管理、機関や機器の保守管理など実践実技の習得を強化します。
4.本校専攻科及び海洋系大学進学を強化し、本校実習船及び海洋技術科教員(三級海技士免許取得後実地経験5年以上)の後継者育成を強化します。
5.平成16年度に導入したISO9001(国際化基準機構)に批准した教育マネジメントシステムを強化し、社会のニーズに応え生徒保護者が満足できる教育を提供します。

専攻科漁業科紹介資料

専攻科機関科紹介資料

県民のみなさまに知って欲しい!

1.県民の皆様に幅広く⦅海技従事者⦆船員の仕事、魅力を知って欲しい

内航海運(国内海運会社)における労働者の平均年齢は45歳を越え、 50%以上が50歳以上、60歳以上も25%以上となっている。2015年には船員約800~2200人、2020年には約2100~5100人の船員不足が生じるというデータが示されており、全国的に船員育成が急務とされている。内航の航海日数は2時間~2日程度の短期航海が主流、給与は20代前半で手取り額25万円を超える。また、就業期間は3ヶ月乗船して約1ヶ月間の長期休暇が確保されており、若者に取ってはなかなか良い労働条件である。県外海運会社に就職しても住民票は移さなくても良いという会社が多い。

2.みなさんが普段目にしている物の99%が船によって運ばれています。

沖縄県は四方海に囲まれた島国であり、物流の99%以上が海上輸送に依存している。また、大量の荷物を低コストで輸送する最も省エネルギーで環境にやさしいのが「船」である。このような現状を知っている人は数少なく、就職先も陸上のみに目を向けている。沖縄県の物流産業を支える上でなくてはならないのが「船」であり「船員」である。船員になるためには海技士免許が必要であり、その免許を取得した際には士官候補生として注目され、全国の海運会社からのニーズも高い。

3.沖縄水産高校専攻科卒業生の活躍を知って欲しい

専攻科は、昭和38年(1963年)に設置以来今年で57年目を迎え、これまでに国家公務員、地方公務員(教員含む)をはじめ、水産及び海洋関連産業等へ965名(令和元年現在)を県内外へ輩出している。うるま市の海員学校が平成15年に募集を停止し、その後廃校となった今、県内唯一の船舶職員養成施設となった。

4.海技士免許を知って欲しい

海技士免許には航海と機関があり、小型船舶操縦士免許の上に位置するのが海技士免許である。免許には1級~6級まであり、本校専攻科で取得可能な3級海技士免許は、内航(国内航路)5000トン未満の船舶の船長、外航(外国航路)500トン未満の船舶の船長ができる上級免許で、内航(国内航路)機関出力6000kw以下の船舶の機関長まで出来る免許である。国内を走る船なら船長機関長になれる免許である。又その免許取得には実務経験(乗船履歴)が必要で、水産系大学専攻科及び商船系学部か水産高校専攻科しか取得できない希少な免許である。

5.本県専攻科の魅力を知って欲しい

(1)日本国及び、本県の地理的環境

沖縄県においては物流の99%以上が海上輸送に依存しており、日本という国も世界的見地に立てば、沖縄県と同様で島国であるため、常に船員の需要がある。

(2)三級海技士養成施設としての専攻科

①ISO9001批准

平成16年度よりISO9001(国際標準化機構)に批准した教育マネジメントシステムを取入れ質の高い教育を提供。

②本科海洋技術科の5級海技士養成施設と連結

本科(高校)では5級海技士養成施設として中級海技従事者を育成しており、さらに専攻科に進学することで5年間を通したキャリア教育がなされる。

(3)普通高校から専攻科への受験可能

志願倍率は平成17年以降増加傾向にあり、他校からの受験者も増加傾向にある。
(R2:1.60、R1:1.61、H30:1.56、H29:1.33、H28:1.67)

6.進路決定状況

☆海技従事職(船舶職員)としての就職内定率はH17年以降14年連続100%達成。

☆生徒目標達成率(後継者育成率)100%達成。

【県内海運会社】

琉球海運㈱、久米商船㈱、南西海運(株)、東亜運輸(株)、 大東海運(株)、(株)那覇タグサービス、共和マリン㈱、沖縄海運産業㈱、沖縄マリン㈱、湧川運輸㈱、昭進汽船㈱、その他離島航路フェリー

【県外海運会社】

栗林マリタイム㈱(東京)、スミセ海運(株)(東京)、鶴見サンマリンタンカー(株)(東京)、(株)東栄リーファーライン(東京)、NSユナイテッド(株)(東京)、新和ケミカルタンカー㈱(東京)、大洋エーアンドエフ㈱(東京)、旭タンカー㈱(東京)、三重海運株式会社(東京)、旭東海運㈱(外航船:東京)、グローバルオーシャンディベロップメント㈱(日本郵船グループ系列東京)、日本水産㈱(東京)、共同船舶(株)(東京)、葉山船舶㈱(東京)、(財)日本船員福利雇用センター(SECOJ)(東京)、JX日鉱日石シッピング(株)(神奈川)、ヤマグチマリン㈱(神奈川)、関西汽船(株)(大阪)、大阪旭海運㈱(大阪)、名門大洋フェリー㈱(大阪)、ハヤシ海運㈱(和歌山)、如月汽船㈱(愛媛)、宇和島運輸㈱(愛媛)、金力汽船(株)(愛媛)、藤井綱海運㈱(愛媛)、宇部興産(株)(山口)、共和水産㈱(鳥取)、株式会社三原海運(香川)、ニッスイマリン工業(株)(東京)、アジアパシフィックマリン㈱(福岡)、株式会社霧島海運商会(福岡)、鶴丸海運(株)(福岡)、二丈海運(株)(福岡)、宮崎カーフェリー(株)(宮崎)、鹿児島荷役海陸運輸㈱(鹿児島)

【官公庁船】

海上保安庁、気象庁観測船、実習船海邦丸、沖縄県調査船、警備艇、税関船、国立大学実習船

7.定着率は3カ年で83%以上

若年者の早期離職者や失業率が高い沖縄県にあって、生徒達の船員としての定着率は高く、沖縄県に貢献したいという強い思いもあり、これまで県外海運会社に就職した生徒達のほとんどが住民票を沖縄県に置き、一般陸上職の2~3倍の納税義務を果し、沖縄県の財源に貢献している。又、全国や沖縄県の将来の船員不足に対する問題に対しても後継者育成100%と貢献している。

8.資格取得実績

(1)免許取得状況 

海技士免許には1級~6級まであり、筆記試験合格後に口述試験を受け合格して初めて免状となる。全国の海技士筆記試験合格率の平均は、一般受験者を含め2級海技士で約15%、3級海技士で約20%(関東、九州、沖縄運輸局運輸要覧より)の難関とされている。

本校専攻科は3級海技士養成施設で筆記試験が免除されるが、自力取得を目指し3級筆記試験から受験に挑戦している。近年では2級海技士試験に挑戦し合格する生徒も増加傾向にある。2級海技士筆記試験合格は国立大学卒業生レベルと同等と言われており、全国の水産高校の中で2級海技士筆記試験合格者はトップクラスで、県内外企業からの評価も高い。

≪国家試験第一級海上特殊無線技士合格率≫ 100%
≪平成17年以降国家試験3級海技士免許取得率≫ 100%

9.平成20年度より海洋技術科は船員職業紹介所として国土交通省認定登録

  有効求人倍率は近年4.5倍以上(令和元年4.95、平成30年4.82、平成29年5.14)

10.まとめ

海洋技術科では、平成16年以降専攻科の立て直しを図るため3つの課題点を挙げ、これまで解決に向け取組んできました。

①魅力ある専門高校とは何か。→ 就職率100%

②専門高校が果たすべき役割とは何か。→ 後継者育成率100%

③生徒が満足する教育とは何か。→ ISO9001を推進し実行

職員一人ひとりが意識し、一丸となって取組んできた結果が、平成17年以降の数値となって現れている。就職先の会社からも高い評価を頂いており、会社との信頼関係を構築している。現在では、専攻科志願者数、免許取得率、後継者育成率、就職内定率においても全国水産高等学校専攻科設置校のなかでトップクラスである。今後とも全国専攻科設置校の模範となるような取り組みを行なっていきたいと思います。

全国的に船員の後継者不足が深刻な問題となっていますが、本校では目標を持って専攻科へ進み、将来大型フェリーや貨物船、タンカー等の船長を目指す生徒が増加傾向にあります。平成17年度以降就職内定率や後継者育成率は100%を続けています。

新時代の人材を育成