沖縄県の取り組み
海洋教育、人材育成
人類は有史以来、魚介類等の海の恵みを利活用することで豊かな暮らしを実現してきました。技術が進歩するにつれて、海を利用する形は、水産資源の利用から海上輸送や干拓、埋め立て等へと広がっていき、そのスケールも大きくなってきました。
海洋資源開発とは、これら在来型の海洋利用以外の新しい分野での海洋の有効利用を指しています。技術の進歩とともに分野は拡大し、海底鉱物資源開発、海洋石油・天然ガス開発、海洋再生可能エネルギー開発、海洋空間利用など多岐にわたっています。
海洋開発のプロジェクトでは通常、長い期間と巨額のお金とともに、高い専門性や技術、特殊な設備等が必要となり、関連する企業や研究機関と協力しながら進める必要があります。沖縄県においても、それぞれの企業が自社の強みを生かし海洋開発ビジネスへの参入・拡大の動きを進めています。
海底鉱物資源や海洋再生可能エネルギー開発技術はまだ十分に確立されていないため、民間だけでは産業化することが難しく、政府が中心となって研究開発を進めています。こうした新たな海洋資源分野への挑戦は、世界の海洋開発をリードするとともに、わが国の将来の存立基盤、産業国際競争力の源泉を担う重要な分野として発展することが期待されています。
沖縄県は国内有数の広大な海域を有する地域であり、多様な海洋資源が存在することから、海洋資源を利活用した新たな産業の創出や雇用の拡大などは本県経済に大きな効果をもたらす可能性を有しており、「沖縄21世紀ビジョン」においても、次世代のリーディング産業の一つとして海洋産業を掲げ、この具体化に向け中期的、長期的な視点から海洋資源産業に関連した海洋教育、人材育成、研究開発、産業化を推進しています。
これまでの取り組み状況を記します。
海洋教育おでかけ講座
海洋資源関連産業の創出に向けた人材育成・啓発活動及び周知広報のために、講座・展示・体験型のイベント等を行っています。
海の基礎知識を得ることから海洋資源の利活用の考察、更に科学技術及び職業先としての海洋に関わる講座を開くことで、海洋人材の育成につながるものと考えており、児童生徒・教育者・保護者の方々から多くの「身近にある海のことが知りたい」や「沖縄の海に資源が眠っているってホント?」、「海の仕事はどんなものがあるの?」「海の仕事で食べていけるの?」など疑問や要望にお応えさせていただいています。
講座内容は「沖縄の海、世界の海」、「深海のお話」、「海の研究」、「海のお仕事」など多岐にわたります。依頼元の要望と合わせ、それぞれの内容を単独または組み合わせて行います。令和元年度までにのべ3,000名以上の生徒さんたちに講座を行ってきました。
海洋資源産業セミナー
経営者層や一般の県民の皆さまに、沖縄近海における海洋資源に関する調査等の状況、最新技術情報、国や関係機関の取組について紹介するセミナーを開催しました。
海洋調査船見学会
子供たちに実物と触れ合ってもらう。
沖縄県近海での海洋資源の調査研究・探査についてより深く知って貰い、将来の職業選択肢を増やす海洋人材育成の一環とするために、海洋調査船の機材(AUV、ROV、その他探査機)や船内の見学などを行っています。主として中学生以上を対象に、実際の船や採取された実物の海底資源等に触れ、携わっている方々から直に説明を受けることで、海の職業の一端を体感できるイベントを実施しています。
過去に行った海洋資源調査船「白嶺」見学会や多目的海洋作業船「新世丸」(ROV)見学会では、見学後の生徒から「海底資源や海洋調査に興味が湧いた。」や「将来の職業として考えてみたい。」などの感想をいただいています。
このほかにも、実際の環境調査機器を使用した実地研修を行っています。
海洋資源産業シンポジウム・講演会・座談会
海洋資源開発に関する国や関係機関の最新の動向について、迅速に情報を収集、整理分析し県民の皆さまにわかりやすく紹介することは、沖縄県の将来の海洋資源関連産業拠点の形成に向けた機運の醸成に寄与するものと考えています。これら情報提供の一環として、国や関係機関の専門員や研究者の方々を講師として招き、シンポジウムや講演会、座談会を行っています。
海洋資源講演座談会(令和元年2月14日)
沖縄の海洋資源 講演会(平成31年2月8日)
海底資源と沖縄の未来 講演会(平成30年3月16日)
沖縄海洋新産業シンポジウム2016(平成29年2月12日)
海洋産業展、海洋産業企画展、海洋産業パネル展
県民の皆さまに沖縄周辺の海洋資源や海洋資源開発にかかる産業について、沖縄県の取り組みを紹介するパネル展示や映像の上映などを行い、県の取り組みや国や関係機関の取り組み、県内企業の取り組みについて紹介しています。
過去の海洋産業展はこちらで紹介しています。